「三井住友海上との連携について日経 XTECH」掲載のお知らせ

医療機関と連携する新たな健康増進型保険とは、三井住友海上がアジア向けに開発へ

三井住友海上火災保険は、ベトナムでクリニックを展開するメドリング(東京・文京)やインシュアテック企業のリマークジャパン(東京・千代田)と共同で、医療機関と連携する新たな健康増進型保険の開発に着手した。健康診断データのAI(人工知能)分析で判明した疾病リスクなどを医療機関から加入者にフィードバックして健康増進の効果を高める。「医療機関と連携した健康増進型保険は日本の保険会社では初めて。世界でも恐らく初めてではないか」(三井住友海上火災保険 デジタル戦略部の笹森愛美 課長代理)とする。

既存の健康増進型保険は、健康診断結果の提出や日々の運動などによって保険料を割り引いたり特典を付与したりする。特典取得に向けて運動などを継続すれば加入者の健康維持に寄与するだけでなく、結果として保険会社の支払う保険金が減る可能性がある。これに対して三井住友海上などが開発する新たな健康増進型保険では、「特典だけでなく医師からのフィードバックも加えて、生活習慣の改善につなげることを狙う」(メドリング 安部一真 代表取締役CEO)。

実証実験のイメージ
(出所:三井住友海上火災保険)[画像のクリックで拡大表示]

保険の開発に向けて、メドリングが運営するベトナムのクリニックで2021年10月中旬から実証実験に取り組んでいる。複数のベトナム企業から100人の参加者を募り、健康診断の結果をリマークの「AI疾病リスク予測エンジン」で分析。疾病リスクを数値化した「健康指標」をクリニックから参加者にフィードバックして運動など健康増進を促す。

さらに、健康増進に対する意識向上を図るために、ウエアラブル端末で歩数や心拍数、睡眠時間など日々のバイタルデータを取得。リマークの健康増進アプリ「Good Life」と連携して「若返り年齢」といった指標で活動結果を可視化する。実証実験は継続中だが「継続率が高くて驚いている」(メドリングの安部氏)という。3カ月後に再び健康診断を受け、健康指標が改善していれば商品券などの特典を付与する。

健康増進アプリ「Good Life」の画面イメージ
(出所:三井住友海上火災保険、リマークジャパン)[画像のクリックで拡大表示]

2021年度内に実験結果を検証し、2022年度にベトナムでの販売開始を目指す。その後、他のアジア地域への展開を検討していく。アジア地域は人口増加などにより保険市場の成長が期待できるうえ、三井住友海上が東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のすべてに拠点を有しており、事業展開に適していると判断した。

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